日本身体障害者野球連盟理事長

岩崎廣司(いわさき・ひろし)

1993年に日本身体障害者野球連盟を設立、理事長に就任。2006年11月に、身体障害者野球のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)となる「第1回世界身体障害者野球大会」で日本代表監督として優勝。10年の第2回大会で連続優勝し、14年の第3回大会では準優勝を果たした。11年に厚生労働大臣表彰を受けた。

この野球を未来の障害児童たちに残したい

 野球は全員に公平平等に打順が巡ってきます。これらは当然のように思いますが、スポーツの世界では強者に球が集まりがちですから「人間を大切にする」という本連盟の理念に合致しています。大会も春の選抜大会(参加志向)と秋の全日本選手権大会(競技志向)の二つを開催して、幅広い障害者の意向に沿うよう企画しています。そのため初心者から50m6秒で走る元高校球児までいろいろなプレーを見ることができます。

 現状では参加選手の交通費や宿泊費は自己負担です。遠方の地区は貸切バス価格が高騰し苦悩しています。お金があればせめて交通費の一部や2日間のお弁当代ぐらいは出したいと痛切に感じます。

 このため、大会の参加名簿に入っている選手が間際に出場をキャンセルする場合もあります。事情を聞くと経費がないという回答。全国の会員の中には障害のために未就労者もおり、断念される方もおられます。そんな方にもチームのプラカードを掲げて入場行進し、元気にプレーして頂いて全国の仲間と交流してほしいと願います。

 本連盟は、突然の事故や病気でドクターストップがかかり野球を断念して、泣きながら用具を燃やしたが、愛用の磨き込んだグラブだけはどうしても捨てられなかった人たちの集まりです。ですからグラウンドに再び立てるだけで幸せを感じています。一生懸命やるのは当たり前、普通にやれてたことは実は奇跡だったのだと実感している人たちばかりですから。

 「この野球を未来の障害児童たちに残したい」と思っています。野球を通じて障害者の日常生活に健康と明るさをもたらしてゆくことが私の使命だと感じています。