ブラインドサッカー日本代表

落合啓士(おちあい・ひろし)

1977年、横浜市生まれ。10歳頃から徐々に視力が落ちる網膜色素変性症にかかり、18歳で視覚障がい者に。25歳でブラインドサッカーと出合ってプレーを始め、2003年に日本代表に選ばれた。ポジションはFW。

誰もが楽しめる観戦環境の実現のために

 日本には約30万人の視覚障がい者がいます。なかには目が見えないのが原因で、生活に楽しみを見出だせない方がいます。かつては私もその一人でした。20代で完全に視力を失った私の人生は、26歳でブラインドサッカーに出会ったことで大きく変わりました。生きる希望を失いかけていた私を変えてくれたスポーツの力で、多くの視覚障がい者がもっと楽しめる世の中を創りたい! そんな想いから、視覚障がい者でもスポーツ観戦が楽しめる「リレーションセンターキット」の常設に向け、ご支援を募っています。

 リレーションセンターキットというのは、全試合を実況中継したり、障がい者らへ情報提供するための音声ガイドシステムや、手で触れて会場内の場所を確認できる3Dスケールモデル(縮小模型)、そして筆談ツール、拡大ガイドブックなど、障害のある方にも気軽に観戦を楽しんでいただくためのサービスです。日本ブラインドサッカー協会は、2014年11月の世界選手権からこのキットを会場内に設け、観戦環境の整備に向けた取り組みを進めています。

 ブラインドサッカーはキーパーを除く選手全員が視覚障がい者です。実際にコートまで足を運び、プレーを肌で感じてもらえれば、同じ障がいを持つ方々にも大きな勇気を与えられる、と確信しています。ですが、「きっと、楽しめないから」と諦め、観戦にはなかなか来ていただけないのです。音声で試合を楽しめるリレーションセンターキットがあれば、目が見える人と同じように、会場の臨場感を味わうことが可能です。

 実際に私もJリーグなどの試合にサポーターとして出掛け、スタジアムで応援していますが、スポーツは目だけで楽しむものではありません。スタジアムの空気感、ファンの声援、どよめき、体全体で、その臨場感を感じるのです。目の見えない人々にもっと気軽にスポーツと触れてもらいたいと願っています。観戦環境を整えるために、音声ガイドシステムをはじめとするリレーションセンターキットが必要なのです。

 私たちは16年のリオデジャネイロ・パラリンピックでのメダル獲得を目指して、厳しい練習を日々重ねています。世界の強豪を倒すためには、私たちの実力向上はもちろんですが、後押しとなる世の中からの注目や理解も欠かせません。7月に日本選手権、9月にアジア選手権が開催されます。皆さん、会場にぜひ足を運んで下さい。そして多くのご支援をお願いいたします。